PEOPLE & WORKS
PEOPLE
& WORKS
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- 山本-入社10年目-
- 鳥丸-入社4年目-
- ルルルン ごきげんかるた
(グライド・エンタープライズ) -
- クリエイティブディレクター/吉川隼太
- アートディレクター/高嶋結
- デザイナー/山本翠・鳥丸新水
- イラストレーター/とんぼせんせい
みんなの気持ちを上向きにしたいという思いから企画された「ルルルンごきげんかるた」。Twitterや社内スタッフから、コロナ禍で見つけた「ささやかな幸せ」を募集し、オリジナルのかるたを作りました。デザイナーの山本さんと鳥丸さんはどのように制作に携わったのか?詳しく聞いてみました。
デザイナーは
カルタも作っちゃう。
かるたということで、いわゆる広告のイメージとは違うように思いますが、こういう仕事はよくあるんでしょうか?
山本:広告って、普通は商品を売るために作るよね。今回はルルルンのフェイスマスクを売るというよりは、コロナ禍で寂しい世の中に癒しを与えるようなプロダクトを作りました。そういう仕事は珍しいと思うし、すごくやりがいがありました。最近は広告っぽくない仕事も増えてきてる印象があります。コロナ禍だからなのかな?と思います。これを伝えたいんだ!というメッセージ性のある広告が多い気がします。
企業が世の中を明るくするような企画を発信することが増えてますよね。
山本:会社のブランディングっていう考え方なのかな。鳥丸はそういう仕事多い?
烏丸:そうですね。最近だと、SNSの反響を意識して作ってる広告が多いと思います。
確かに。ざっくりだけど「バズりたいです」みたいな。
山本:ごきげんかるたはバズを狙ったわけじゃないけど、SNSでの見せ方はこだわりましたね。そのままイラストを投稿するのではなく、実物のかるたを撮影して、インスタの四角形の中でいかに映えるかをたくさん検証しています。クライアントさんが「ごきげんをつくる」っていうブランドコンセプトを大事にしていて、2020年の締めくくりにコロナ禍で「今まで見過ごしてきた、ささやかな幸せ」を再発見して、みんなの気持ちが上向きになってほしいという思いがあったから、かるたという表現になったのだと思います。
ごきげんかるたはとんぼせんせいがイラストを担当していますが、お二人は具体的にどの部分を担当されましたか?
山本:まさかとんぼせんせいに描いていただけるなんて思わなかったです。私たちはかるたのデザインや、パッケージ、ロゴなどアウトプットに関わる部分を担当しました。アートディレクター(以下AD)さんから企画をいただいて、一緒に形にしていきました。ただ、絵札が46枚もあって、文字札のコピーが上がってきてからイラストの設定を考える作業がとても大変なので、とんぼせんせい、ADさん、私たちみんなで分担してコピーに合わせたシチュエーションを考えました。特に烏丸が大活躍してくれました!
たしかに、イラストレーターさん1人で担当するには量が多いですね。
山本:時間もなかったですしね…。作るのが難しいお題もあって、たとえば「ろまんすアプリで見つけたよ」っていうコピー。私は、アプリで知り合った2人がスマホを持って待ち合わせをしているような絵しか浮かばなかったけど、烏丸に意見を聞いたらマッチングアプリのアイコンを使ったかわいくてシンプルな設定を考えてくれました。それをもとにADさんにも意見を伺いつつ、最終的にとんぼせんせいが素敵に仕上げてくれました。私もいくつか設定を考えはしたんですが絵が下手すぎたので、ぐちゃぐちゃなラフを烏丸に綺麗に描き直してもらいました(笑)。
鳥丸:そうですね。ざっくり描いてもらったものを私のほうで仕上げました。
山本:イラストが上手な鳥丸だからできましたね。頑張ってくれて、すごい助かったなって思ってます。これは稀な作業だと思いますが。
作るときに大変だったこと
作るうえで苦労したことはありますか?
山本:まず、かるたなので作る量が多かったですね。表参道の駅中の大きい広告に、かるた一枚一枚のビジュアルを落とし込むのは、デザイン作業もデータ管理もかなり神経を使いました。大切なイラストのデータをミスなく入稿できるように、目を皿にして何度も確認しました。あの時は毎日不安でした・・・。
鳥丸:私はかるたのロゴを判子のような質感にするために、テクスチャの素材作りをしたことです。種類の違う画用紙を何枚も用意して、絵の具を広げてかすれ具合を見つつ、「判子っぽさ」が出るテクスチャが描けるまで検証しました。大変というか、こだわったところだと思います。
山本:ロゴはかるたに入れると小さくなって文字が潰れて見えちゃうし、交通広告で大きくしときはガサガサしても見づらいし、ちょうどいいバランスを私たちの中で探しました。
風合いがあって素敵ですよね。
こだわりは、”クセ”を入れること。
こだわりとか意識したことってありますか?
山本:色やトンマナを作ることを意識した。優しくて癒される色合い、そして駅の広告でも映えるような色にする検証をしました。あとは、交通広告でかるたが並んだときに隣同士の色が被らないよう配色したりしましたが、パズルみたいでしたね。
色かわいいですよね!
山本:あまりこういうパステル調の色って使わないですよね。ちょっとクセがあるというか。実は他の仕事でも普通っぽくならないように、一癖つけるようにしてるんです。変にするっていうと言い方あれなんだけど、ちょっと変なほうが面白いですよね?そこはこだわっていると思います。
ごきげんかるたにおいて、”クセ”をつけた部分というのは?
山本:先ほど話した色合いもそうですが、とんぼ先生のイラストがとても素敵なので、イラストの女の子の髪の毛をあえて青くして色を外してみたり、ロゴをクセが強めの形にしたり、読み札の書体もかるたで使わないような今っぽい細くてシンプルなものにしたりと、すごく地味な部分までこだわって作っています。
鳥丸:私は細かい作業が多かったので、最後まで手を抜かないで気をつけるというか。山本さんはかなり細かいところまで詰めるので、私も任された部分は責任を持ってやり遂げました!
山本:偉いじゃん〜。
(笑)
チームの仕事の進め方
チームでの仕事の進め方はどうしてますか?
山本:仕事をいただいたら、まずADさんから企画と方向性を共有してもらい、指示を出していただきます。そこから資料を探したり、必要ならば意見交換をして、理想のデザインになるよう後輩と一緒に詰めます。アイデアを求められた際は、後輩と話し合ってから、ADさんに投げることが多いかな。なるべく後輩にもADさんと直接やりとりしてもらうようにしてます。かるたの設定を考えるときも、ADさんと鳥丸とたくさん話し合いました。ADさんとのコミュニケーションはかなり大事にしてます。あとイラストが必要なときは、私が雑魚なので(笑)、鳥丸にほぼお任せ状態です。でも、基本は一緒に作業するようにしてて、任せられることは任せて、意見を出せるときは出してもらいます。過保護になりすぎないようにしたいです。あとはずっと雑談しながら作業してますね。
鳥丸:山本さんがADさんとコミュニケーションを取れるようにしてくださったので、ADさんから意見を聞かれたときは、自分の意見をしっかり持って答えるようにしてました。)
山本:偉いじゃん!
(笑)
ADさんとは一緒に作業を進めていくのでしょうか?
山本:そうですね。企画の最終的な方向性は決めてもらって、私たちもそれに乗っかりつつ、必要であればアイデアを出して、クオリティが上がるよう一緒に進めています。その分の仕事は増えちゃうけど、上がりを良くするためにやるようにしてます。
デザインのヒントはどこから?
山本さんの仕事はかっこいいなって思うんですけど、作品を作るために日頃からどうやってインプットしてますか?
山本:私はミーハーなのもあって、インスタでカメラマンさんやイラストレーターさん、デザインとかファッションの情報をよく見ています。インスタって本当に便利で、海外のものを含めていろんなものを見れるじゃないですか?暇さえあればチェックするようにしてるかな。好きな人を今800人ぐらいフォローしてるんだけど、ほぼインプットするためのものですね。あと展示会には、足を運んだりしてますね。こういうのが好き!というストックを増やすようにしています。あと、自分が偏った見方になってしまうときがたまにあるので、迷ったときは「どっちがいい?」って、周りの人に意見を聞いて客観的な目線と選択肢を増やすようにしています。
鳥丸さんもたくさんイラストを描いたり、自分の世界観があると思いますが、どうやって情報を吸収してますか?
鳥丸:私も自主制作のときは、流行ってるものとか、どんなイラストレーターさんが人気かチェックするようにしてます。山本さんから「このカメラマンさんいいよ」って教えてもらった人は全員フォローして、写真や映画とかイラスト以外のものからもどうやったら自分のイラストに落とせるかを意識してます。
山本:広告の仕事に携わっていると、デザイン以外でも流行りのものに乗っかることが大事だと最近は思っていて。Netflixとか動画配信でなんでも見られる時代なので、流行っているコンテンツ、タレントさんなどは知って損はないので覚えるようにしています。流行りばかりを追うのが正しいわけではないけど、仕事でコンテンツ好きが役に立つこともあるので、自分が超ミーハーでよかったなと思います!
ちゃんと流行も掴んでいこうって思いました。
山本:自分の好きな方向性はわかるようにしておくのがいいと思う。
山本さんは華のある仕事が多いように思いますが、昔からそうですか?
山本:ごきげんかるたはたまたま派手な仕事だったと思うけど、派手じゃない原稿もあったよ。文字情報ばかりの原稿でも、「隅っこの情報を綺麗にまとめられたわ〜」とか「書体にはこだわったぞ」とか、小さい部分で密かに自己満足をしながら作業してました。5年目まではタレント広告の経験がほぼなかったし、特に文字が多い仕事が多かったけど、どんな仕事でも自分なりのこだわりは残せるようにしてたね。昔はポンコツで、仕事ができない愛嬌のあるやつでした(笑)。イラストやロゴが苦手で技術もなかったけど、資料探しだけは頑張ってました。本棚の資料もほぼほぼ見切ってましたし、「こんな写真を探してほしい」というオーダーはなんでも見つけられる自信がありました。入社してからでもいいから、そういう他の人には負けないものをなんでもいいので、1個見つけられればいいんじゃないかと思います。3年目くらいになれば、みんな技術も変わらなくなるからね。
鳥丸さんは将来どういう仕事をやってみたいですか?
鳥丸:イラストが好きで描いてるので、自分のイラストを生かすじゃないですけど・・・
山本:言っちゃいなよ、広告に使われたいって!
鳥丸:使われたいです(笑)あと、ジャケ写とかのデザインもやってみたいです。イラストレーターさんが起用されることが増えてきた印象を受けるので、自分もやれたらいいなと思ってます。
こんな後輩と働きたい!
最後に、どんな後輩と一緒に働きたいですか?
鳥丸:先輩から「鳥丸はどう思っている?」って聞かれることが多かったので、自分も意見をしっかり持ってる後輩がいいなと思ってます。先輩に言われたことだけをするのではなく、「こう思います」って自分の考えを持ってるとありがたいなと。
山本:私は正直、イラレやフォトショとかの技術ってやる気さえあればどうにかなるかと思っていて。それよりも、やる気と好奇心がある子がいいな。機嫌よく仕事をやってくれる人。私も鳥丸が言った通り、意見は間違ってても全然いいので、自分で説明できることってすごく大事だなと思ってる。オペレーターにはなってほしくない。
今リモートで顔を合わせる機会が少なくなってるからこそ、余計に思うかもしれませんね。
山本:そっちのほうが楽しいと思うんだよね。それで、2人はどういう後輩と働きたいんですか?(笑)
いや、まだ一番下っ端なんですけど(笑)。でも、一緒に仕事してて楽しい子がいいなって思います。「大変だけど、頑張って乗り切ります!」って一緒に乗り越えられる人。あと、先輩のみなさんが自分の意見を持ってる人がいいってお話されてたので、意見をちゃんと持ちたいと思います・・・!
山本:無理に言わなくてもいいけど、「どっちがいい?」って聞かれたときに、一言添えられればいい。先輩と逆の意見でもいいし。
高橋さんはありますか?
2年目になった時を想像して・・・優しいというか、話をちゃんと聞いてくれる人。向こうも気を使わずに、気軽に話せる人ですかね。
山本:気は使ってほしいかも(笑)。今はリモートが多いから、フランクに話してくれる子とか大事だよね。しっかりコミュニケーションを取れる人がいいな〜。そういう空気も作れるように頑張ります!